New Heritage 日本

日々生活が加速している中で、人々は癒しをもとめています。

その心を癒すのは、何か懐かしく思い出深いものです。

私はこのような世の中にいて疎外感を感じています。受け取っているものが多すぎる故に自分が誰なのか迷うこともあります。

ウッドターニングを極める中で、作品はただ実用的であること以外に特別な何かを持っていると気づきました。その特別な何かを強制的に作品に入れることはできないのだと分かってきました。それにはたくさんの時間と労力が必要です。その上、たくさんの匠の技と意図せずに「無」になることが重要です。

-YUGEN- コレクションと違って、-NEW HERITAGE- の核は昔のものへの執着を捨てることです。その「捨てること」は何年も前に始まっており、陳腐なアイデアを捨てて完璧さを求める事を続けています。

その始まりは、ワーナー・フックス -WERNER FUCHS- に出会った8年前でした。フックスさんは生木を使った木工の専門家です。彼はいろいろな作品を手ノコや斧、ナイフを使って生木を加工し作っています。例えばスプーンやお椀などです。

作品の表面は木のありのままを活かしたカラーで、天然のオイルやワックスで仕上げています。フックスさんの作品は、上品で肌触りがとても良いです。

私は個人的にフックスさんのような作品がよいと思っています。昔はそう思っていなかったのですが、今はそう思っています。なぜなら、フックスさんの技術は私が昔持っていた技術とはまるで違っていたからです。ですがフックスさんとの深い友情関係のお蔭で、生木の伝統技術を知ることができました。それらの伝統技術はイギリスやリトアニアなどで残っており、根深い伝統です。その文化は技術だけではなく、生きるための哲学でもあります。

私は生木の匠になろうとは思っていませんでしたが、今使っている技術は生木の伝統技術の影響を受けています。少しずつ、それらのインスピレーションを自分の作品にとり込んでいます。

特に自然を感じる表面に魅力を感じました。その表面はザラザラとしていて美しかった。私は最初のボウルを旋盤で削りナイフで表面を削りました。そしてこの2年間の努力で結果的に -NEW HERITAGE- が産まれました。イギリスからのインスピレーションを沢山うけている事もあり英語の -NEW HERITAGE- という題名にしました。更に、個人的に古い世代から若い世代に伝承することに深く興味をもっています。伝承するということは、新しい作品と古い世代との深い綱がりも創ることになります。それらの作品は、伝統と現代の間に自然と流れています。

私の使っている彫の飾り模様は主にシンプルなバンドオーナメント(帯模様)です。私はこの作品をつくることを楽しんだ反面、試練もたくさん克服してきました。その試練というのは、頭で考えて合理的に作るのではなく無意識の状態で手を動かすということでした。

日本の陶芸は私の色付きの作品に大きな影響を与えました。日本の陶芸作品の表面は魅力的な柄をもっています、着いた釉薬は完全には覆っておらず部分的に釉薬の着かない土の部分が残っています。

-NEW HERITAGE- コレクションのほとんどの作品はくり抜いたボウルの形をしています。作品の表面はウッドターニングの道具で作った後、真鍮のブラシで磨いています。乾かした後、ミルクペイントで彩色します。そして、少しだけサンディングします。使っているミルクペイントの成分は石灰とカード(凝乳)でできており、天然の土でできた顔料で色付けされているので、食器としても安心して使用できます。

作品全体に亜麻仁油と天然のワックスを何層にも塗っています。そのため、作品表面を頑丈にしてくれています。更にしばらく使っていると、耐水するチカラが高まります。初めて水分の多い食品を使用する際は、10回から20回程度サラダ油でボウルの底を塗ってください。使用後は、ぬるま湯で洗って乾かしてください。食洗機はご利用になれません、また長い間水に漬け置くことは劣化の原因になりますのでお控えください。

何か質問のある方は、気軽にご連絡ください。